表紙は尾形上等兵。主人公パーティーの一員(一応)なのに表紙になれない白石…。
のっけから負傷しコタン滞在が長引く谷垣(笑)
この人不幸体質だよなぁ…。不幸っぷりと眉毛からスピナマラダ!キャラのアズミンと似てる気がします。
尾形は土方一行と合流。えらくくつろいでいてすでにパーティーに馴染んでいます。
一人一人のキャラクターが濃すぎて、土方さんと愉快な仲間たち状態に見える。
そして明かされる「のっぺらぼう」の正体。
彼はアイヌではなく、極東ロシアのパルチザンの可能性があるらしい。
そしてキロランケも「パルチザン」である可能性が匂わされます。
ゴールデンカムイ 8巻 ネタバレ感想
偽刺青人皮編
江戸貝くぅぅん登場
杉元達のヒンナ回や谷垣の過去編など横に逸れることもありますが、8巻の内容は偽刺青人皮を巡るあれやこれやが主に占められています。
そしてこの8巻で鮮烈に登場したのが江戸貝くぅぅん。
もうすごい。ジャイアンシチューを食べたスネ夫の「…すごい」と同じ意味ですごい。
炭鉱が盛んな夕張のある墓場。
妙な刺青を彫った炭鉱夫が埋められたという墓場では盗掘が多発しているようで、鶴見中尉ら3人は見張りをしていました。
その時サラっと明かされる参謀的立場の兵士の名前。月島軍曹というそうな。
怪しい人物が現れましたが二階堂のせいで逃げられてしまいます。
その墓場で怪しい人物の落し物を拾った鶴見中尉。
…手袋?
彼は手袋を届けに、夕張で剥製づくりを営む青年、江戸貝弥作のもとを訪ねました。(尾行して)
好青年な江戸貝弥作は母親たち家族と暮らしているようです。
江戸貝くんの家族に挨拶しようと部屋に入る鶴見中尉ですが、実は彼の家族は
剥製
で背後に
鶴見中尉ピンチかと思いきやまさかの
江戸貝くぅぅん
ここから始まる江戸貝くん作の人皮ファッションショー
足元にいるのはセンター分けの猫
すごいわ…野田先生すごいわ…(ジャイアンシチュー的な意味で)
何がスゴイってこの人皮ファッションも禍々しいマスク(まじで怖い)も作者が考えたとなると…。
作者が一番の変態と言われるのも頷けます。
この回が連載されていた頃、金カムは「このマンガがすごい」で1位を獲得してかなり注目を浴びていました。
ゴールデンカムイってどんなマンガなんだろう~と軽い気持ちでヤンジャンを手に取った読者をドン引きさせた記念すべき回です。
外からこの異常事態を見ていた月島軍曹がつぶやく「なんなのだこれは…!」の一言に尽きます。
江戸貝くんを見事に懐柔し彼に刺青人皮の偽物を作らせ、金塊争奪戦を混乱させる作戦に出た鶴見中尉。
この人の人心掌握術まじで半端ないな。
谷垣の過去
さてこの巻では谷垣の過去も語られます。
コタンを訪れたインカラマッに「妹さんを亡くされてませんか」と問われ顔色を変える谷垣。
妹が義兄でありマタギ仲間でもある賢吉に殺され、義兄への復讐の為に第七師団に入隊したことが明かされます。
そしてあの旅順攻囲戦。鶴見中尉が軍に反旗を翻すきっかけとなった闘いですね。
旅順攻囲戦では月島軍曹や玉井伍長、野間など懐かしい面々の奮闘ぶりも描かれています。
なんと杉元と谷垣がすでに会っていたことも判明しました。これお互い覚えてないのかな。
谷垣は杉元から、妹の仇である賢吉の情報を得ます。
そしてついに戦場で賢吉を発見した谷垣。ですが賢吉は手投げ弾をくくりつけたロシア兵を体を張って止め爆発に巻き込まれてしまいます。
かろうじて息はあった賢吉になぜ妹を殺したのか谷垣は問い詰めますが、賢吉は鼓膜も爆発でやられており聞こえてはいないようです。
ですが今際の際、懺悔なのか「あの時の真相」が賢吉により語られます。
妹を殺したのは確かに賢吉だった。しかし谷垣の妹であるフミは疱瘡に侵されており、彼女は賢吉に疱瘡を皆へ伝染す前に自分を殺してほしいと懇願します。
悩んだ末、フミに手を掛けた賢吉。ことの真相を谷垣達には伝えないまま秋田から逃げてしまいました。
どうかこの話を秋田の阿仁に住む谷垣様に伝えてほしい、と傍らにいる兵士(谷垣)に頼む賢吉。谷垣はマタギが必ず持ち歩く非常食である「カネ餅」を小さくちぎり賢吉の口に入れてやります。
かつて山で遭難した時、谷垣と賢吉の二人で分けあって食べたカネ餅。カネ餅の味で傍らにいる兵士が谷垣だと気づく賢吉。少し微笑んだように見え、彼は息を引き取りました。
谷垣の過去話は、鶴見中尉が彼が語るのを静かに聞く、という体で描かれていますが(面談?)、鶴見中尉の聞き上手さといったら。
これはカリスマですわ。そりゃ造反しても部下たちも付いていきますわ。
ずっと自分の生まれてきた役目を探していたという谷垣。
インカラマッの「アシリパが危険な目にあう」という占いが気になり寝込んでしまったフチ。今まで世話になった恩を返すためアシリパを無事に連れて帰る、とフチ達に約束します。
旅に出る谷垣になぜかくっついていくインカラマ。実は彼女は裏で鶴見中尉とつながりがあるようです。
「妹を亡くした」ことを知っていたインカラマは、占いではなく鶴見から話を聞いていたから、という可能性が高い。
占い師ではないであろう彼女の正体がますます謎です。そして谷垣がコタンにいることを知っているのに何もしてこなかった鶴見中尉も不気味です。
そしてますます高まる谷垣の死亡フラグ…。
3巻で谷垣が二瓶に「ある目的があって軍に残った」とありましたが、妹の仇を取ることが目的だったのでしょうか。
過去の谷垣の顔にある隈が痛々しい。谷垣は初登場時に比べてだいぶ若返ったなと感じますが、コタンで過ごすことで憑き物がだんだん落ちて行ったのもあるのかもなぁ。
老けて見えますが、実はかなり若いんじゃないでしょうか、谷垣って。
江戸貝くぅぅん!
さて偽刺青人皮をようやく完成させた江戸貝くん。
↑ついでに江戸貝特製の鶴見中尉人形
そこに突然尾形の襲撃が。月島は銭湯に出かけており無事でしたが、一人の兵士(前山さん)が狙撃され犠牲になってしまいました。
江戸貝邸に侵入してきた尾形は、工房に残った形跡から刺青人皮のダミーが作られていたことを悟ります。
そして月島軍曹が
超かっこいい
彼は中尉の参謀的立場っぽいので頭脳派だと思っていましたが、超強かった。
なんなのこの有能っぷり。
鶴見中尉を裏切ったことを尾形に詰め寄る月島。
何故尾形が鶴見中尉を裏切ったのかは今まで語られていませんでした。月島軍曹の言うとおり、第七師団の裏切りを利用して手柄にしようとしているのでしょうか。
江戸貝君は偽刺青人皮を持ち出し何とか江戸貝邸から脱出しましたが、尾形がじわじわと追い詰めます。
ついに江戸貝がピンチなところに月島軍曹がトロッコで救出。月島たちが乗ったトロッコは坑道の中に消えていきます。
そしてこの(リアル)鬼ごっこに、夕張を訪れていた杉元組も参戦。
月島江戸貝、杉元白石、尾形のトロッコ追いかけっこが始まりました。命がかかってるのに妙にコメディタッチに描かれております。緊張感がねぇな。
そして坑道の中で爆発事故が起こり、皆命の危機に瀕してしまいます。
そして
落盤に巻き込まれ、江戸貝君退場
月島軍曹に偽刺青人皮の見分け方を言い遺して亡くなりました。
杉元達も絶体絶命のピンチに陥りましたが、ここでまさかのチンポ先生が坑道の中に飛び込んできて杉元達を救出。
そしてあれやこれやで杉元達と土方達が合流するというビックリな流れに。
偽刺青の存在が他チームに早々にバレ、また杉元と土方の初顔合わせもあり、えらい展開の速さです。
そして場所は変わって小樽。
鶴見中尉のもとに偽刺青人皮を持った月島軍曹が戻ってきました。ひどい姿ですがよくあの坑道から一人で抜け出せたな…。
鶴見中尉に江戸貝君が死んだこと、彼が言い遺したことを伝える月島軍曹。
そのまま部屋から去りますが、この表情。怒っているようにも見えます。
ツイッターでも見かけましたが、軍人がポケットに手を入れて歩く、というのは絶対しないことだそうです。
軍帽も坑道の中で失った月島軍曹。もしかして鶴見中尉を裏切るフラグでしょうか。
ゴールデンカムイで軍帽を脱いだキャラは皆もといた組織を抜けてるんですよねぇ…。鶴見中尉、谷垣、尾形、二階堂。皆第七師団じゃないか。
軍を除籍になった杉元が軍帽をかぶったままというのが面白い。
月島軍曹はすごくいいキャラクターだと思うのでこれから活躍してほしい。思えば2巻から登場していたと思われる月島。
これからどう動くのでしょうか。
しかしまともそうなキャラはすぐ死にそうで怖い。(蘇る三島のトラウマ)
むしろヒャッハー!なった方が長生きするんだろうか…。
話の続きは9巻へ
杉元と土方の対面、偽刺青人皮の行方、気になる所で今回は終了しました。
今回もとても濃い内容。脱線ともいえる話でもコメディタッチな回でも無駄なところが全然ないのがこの漫画の凄いところ。
特濃キャラな江戸貝君も1巻で使い切りの人物だというのもかなり潔いなと思います。彼の活躍(…活躍?)はもっと見てみたかった気もしますが。人皮ファッションのバリエーションとか。
谷垣もコタンから出ることになり、ストーリーにどう絡んでいくのか気になります。
9巻は11月に発売になるようですね。デジタル版は12月かぁ…